慢性腎疾患とは

今回は病気のお話をしたいと思います。
高齢のねこちゃん、わんちゃんでよく罹患する病気に慢性腎疾患があります。
腎臓は血液を濾過して体に必要なものを体内に残し、不要な老廃物を尿として体外に排泄するという働きをしています。
慢性腎不全とは、「腎実質障害が数週間~数年以上かけて進行し、腎臓が本来の機能を果たせなくなり、最終的に末期の腎不全、尿毒症へと移行する病態」と定義されます。また、一度失われた腎機能は完全に元通りにはなりません。
人のように最近調子が悪いと伝えられればいいのですが、飼い主さんが気付くのは食欲がなくなったり、吐いたりと尿毒症症状になった末期の状態が多く、正常な機能を果たせる腎実質が残っておらず命の危険を伴った状態という事も多いです。
検査で早期に慢性腎不全をみつけることで正常に機能している腎実質を保護しながら進行をゆっくりにすることで、愛犬愛猫と元気で楽しく長く過ごせることにつながります。
早期発見の方法は尿検査や血液検査を定期的に受けることです。以前の血液検査では腎臓が半分以上障害された状態まで進行しないと発見できませんでしたが、最近は腎不全の初期を血液検査で調べるSDMAという項目が使われはじめ、早期の腎不全を血液検査でみつけることができるようになりました。
おうちでの日常の観察でも腎不全を早期に発見する手助けになります。
腎不全の初期から尿量と飲水量の増加起こります。‘最近おしっこがクサく無くなった’(尿量が増えると薄いおしっこが排出されるので匂いがなくなります。)、‘お水がすぐになくなる’などありましたら動物病院にご相談ください。他の病気でも飲水量や尿量は増えることがありますので詳細な検査をします。
治療は腎不全の進行度合いにもよりますが、定期的な点滴、食事療法、サプリメントなどを使用して腎臓の負担を軽減するような方法をとります。
春先にはわんちゃんであればフィラリアの血液検査を実施されると思います。そのときにぜひフィラリアだけでなく血液健康検査もすることをお勧めします。ねこちゃんの血液健康検査も春先に実施している病院も多いので是非利用してみてください。当院では腎臓の早期発見マーカーSDMAを検査できる血液健康検査プランを春のフィラリア検査の時期にご用意しています。わんちゃんも、ねこちゃんもこの機会にご利用ください。個体によっては腎臓が早い段階で悪くなることもあります。5歳以上は年に1回、8歳以上は年に2回の血液健康検査をオススメしています。わんちゃん、ねこちゃんは見た目は可愛く、いつまでも子供のように思いがちですが、人の4倍のスピードで加齢が進みます。実は飼い主より高齢になっているという事も多いです。私の家のアオバもアタリメも1歳をすぎ、まだ若いと思っていても人に換算すると20歳です。あっという間に私の年齢を越しておばさん、おじさんになって…そんな事を考えるとちょっと寂しいですが。ご相談ご質問などございましたら、お気軽にご連絡ください。