診療ガイド

スムーズな診療のため、事前にご確認・ご準備いただける事項をまとめました。
「いつもと様子が違うな」と感じた時の参考にもご活用ください。
気になることがあれば、些細なことでもお気軽にご相談ください。
下痢・嘔吐

ひどい下痢・嘔吐、慢性的な下痢・嘔吐は全身状態が悪化する場合があります。様子をみないで出来るだけ早く受診するようにしてください。

考えられる病気

感染性腸炎・寄生虫症・異物誤食・肝疾患・膵炎・腎疾患・食物アレルギー・中毒症状など

診察の流れ 問診

いつから始まったか、便の状態、吐いたものの状態、食欲不振があるか、ご飯は何をあげているか、おやつはあげているか、異物をかじったりしていないかなど詳しくお話をお聞きします。

身体検査

体重・体温・聴診・触診などで異常がないか確認します。

検査
糞便検査
便の中に病原体がいないか、消化管内細菌のバランスはどうかなど確認します。(可能であれば便をお持ちいただけると良いです。)

症状がひどい場合には飼い主様と相談のうえ、血液検査・レントゲン検査・超音波検査など実施します。

治療

症状や検査結果をふまえて、抗生剤、整腸剤、吐き気どめなどの内服や注射などを実施します。

おしっこが赤い、回数量が多い

腎臓や膀胱といった泌尿器のトラブルのサインは、おしっこの回数・量が多い、おしっこが出ない、血尿といったものから食欲の低下、元気がない、嘔吐など様々です。中には緊急を要するものもあるので、お早めにご相談ください。当日の尿などをご持参いただけると診断の参考になることもありますので、可能であればお持ちください。

考えられる病気

腎不全、膀胱炎、尿路結石、猫下部尿路疾患、糖尿病など

診察の流れ 問診

おしっこが出ているのか、またおしっこの色・回数や生活習慣についてもお伺いします。

身体検査

体重・体温・聴診・触診などで異常がないか確認します。
お腹の触診で腎臓や膀胱をさわって、大きさや形状、表面の状態などが評価できます。

検査
尿検査
腎臓の機能が低下すると尿が薄くなります。尿検査では尿の薄さ、pHなどを確認します。また、尿中の様々な成分(細菌、炎症細胞、結晶)を検出します。

症状がひどい場合には飼い主様と相談のうえ、血液検査・レントゲン検査・超音波検査など実施します。

治療

症状や検査結果をふまえて、飼い主様と相談の上、今後の治療方針を決めていきます。

できものがある

しこりやイボができた場合、腫瘍の可能性があります。近年では、犬や猫の高齢化に伴い、腫瘍の発生が非常に多くなってきました。腫瘍には大きく分けて良性、悪性があり、悪性の場合は早期発見・早期治療が重要となります。また、しこりは体の表面だけでなく口や耳の中、指先、肛門の周りなど様々な場所に発生しますので全身を気にしてあげましょう。

考えられる病気

リンパ腫、乳腺腫瘍、肥満細胞腫、メラノーマなど

診察の流れ 問診

しこりの部位、いつ頃気付いたか、大きくなっているスピード、本人が気にしているかなどできる限り詳しくお伺いします。

身体検査

体重・体温・聴診・触診などで異常がないか確認します。しこり、イボなどを触り大きさなどを確認します。他の部位にもしこりができていないかなど、全身を検査します。

検査
細胞診検査
しこりに針を刺して患部の細胞を採取します。それを顕微鏡で観察して腫瘍細胞がないか見ていきます。100%の診断は難しいですが、腫瘍の良性や悪性、大まかな細胞の分類を明らかにします。中にはこの検査だけで診断できる腫瘍もあります。
病理検査
細胞診検査で判断がつかない場合や、悪性が疑わしい時は専門医に診てもらう病理検査を行ないます。病理検査が最も確実な診断方法ですが、これは通常、手術後の検査となります。

症状がひどい場合には飼い主様と相談のうえ、血液検査・レントゲン検査・超音波検査など実施します。

治療

症状や検査結果をふまえて、飼い主様と相談の上、今後の治療方針を決めていきます。

咳が出る、疲れやすい

咳をする、痰を吐く、呼吸が苦しそう、くしゃみ鼻水が出るなどの症状は心臓や肺、気管などにトラブルがあると出ます。特に心臓や肺の病気では、はっきり症状が出る頃には、病状が進行していることが多々あります。そのため、定期的な健診を行うことでの早期発見・治療が重要です。もし症状に気づいたらすぐに受診して下さい。

考えられる病気

肺炎、気管支炎、ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)、猫カゼ(猫ウイルス性鼻気管炎)、僧帽弁閉鎖不全症、肥大型心筋症など

診察の流れ 問診

いつ頃から咳が出ているのか、散歩などで疲れ易いかなど様子を詳細に教えてください。説明が難しいと感じられましたら、スマートフォンなどで動画を撮られることをお薦めします。診断を確定するためにも重要な情報です。

身体検査

体重・体温・聴診・触診などで異常がないか確認します。聴診では心臓や肺のどこでどのような雑音が聞こえるのかを確認します。

検査
レントゲン検査
ここまで把握した情報で更に検査が必要な場合は提案させて頂きます。レントゲン検査では心臓の形、大きさ、肺の様子、胸水、腹水などを確認します。
超音波検査
心臓を検査する上で最も重要なもので、心臓の中を確認することができます。
治療

症状や検査結果をふまえて、飼い主様と相談の上、今後の治療方針を決めていきます。

歩き方がおかしい

歩く時に片足をあげる、運動を嫌がる、引きずって歩いたりする場合は、骨や関節などの整形外科の病気だけでなく、神経の病気が原因であることが多いです。

考えられる病気

関節炎、膝蓋骨脱臼、骨折、椎間板ヘルニアなど

診察の流れ 問診

普段の生活の様子をお聞きします。いつからなのか、触ると嫌がるかなど、できる限り詳細に教えて下さい。もし、異常に気が付いた時は、スマートフォンなどで動画の撮影をして頂くと診断の参考になります。

身体検査

体重・体温・聴診・触診などで異常がないか確認します。実際の歩き方を見たり、触診で腫れているところや怪我がないかなどを見ていきます。

検査
レントゲン検査
ここまで把握した情報で更に検査が必要な場合は提案させて頂きます。骨折、脱臼、骨腫瘍などを診断します。また、性格や痛み(症状)の程度に応じて鎮静処置が必要となることがあります。
治療

症状や検査結果をふまえて、飼い主様と相談の上、今後の治療方針を決めていきます。

口臭・歯が抜けた

犬や猫は人間よりも歯石がつきやすい体質です。歯石は細菌の塊のため口臭がするようになります。また、腎臓が悪くなり脱水すると口臭が強くなることもあります。
歯石が重度に付着すると歯肉炎などがおこり、歯や口に中に痛みを生じてたり、顔が腫れることもあります。

考えられる病気

歯肉炎、根尖膿瘍、歯石の付着、口内炎、口腔内腫瘍

診察の流れ 問診

いつからなのか、触ると嫌がるか、食欲はあるが歯が痛くて食べられないのかなど、口からの出血はあるかできる限り詳細に教えて下さい。

身体検査

体重・体温・聴診・触診などで異常がないか確認します。
可能な限り口の中を診て歯肉の腫れがないか、揺れている歯はないかなど診察します。

検査
レントゲン検査
歯根やアゴの骨など、口の中の表面から見えない深い部分に起こる病巣の広がりや状態を評価します。
細胞診検査
病変の表面から針を刺し、採取した細胞を顕微鏡下で観察し検査します。
病理検査
細胞診で確定診断がつかないとき、悪性が疑わしい場合に提案させていただきます。病理検査が最も確実診断方法ですが、これは通常、手術後の検査となります。
治療

症状や検査結果をふまえて、飼い主様と相談の上、今後の治療方針を決めていきます。

皮膚・耳が赤い

皮膚や耳をよくかく、頭をよく振るなどの行動が見られます。
脱毛や、皮膚が赤くなったりする症状から気づかれることが多いです。原因は様々ですが、慢性化すると治りにくくなるため早めに受診をしてください。

考えられる病気

細菌性皮膚炎、真菌性皮膚炎、外耳炎、アレルギー性皮膚炎、内分泌疾患など

診察の流れ 問診

いつからなのか、どれくらい痒いのかなど詳しくお聞きします。
今食べているフードの種類、おやつの種類、環境の変化の有無、シャンプーの頻度などできる限り詳細に教えて下さい。

身体検査

痒がる部分を中心に、皮膚の色、ふくらみ、弾力など皮膚全体を検査します。

検査
抜毛検査
病原体の有無や毛の状態などを顕微鏡で観察し検査します
スタンプ検査
病変部を採取し、顕微鏡で観察するなどして原因となっている病原体を探します。
耳垢検査
ここまで把握した情報で更に検査が必要な場合は提案させて頂きます。
耳垢検査
耳垢を採取し、顕微鏡で原因となっている病原体を探します。
治療

症状や検査結果をふまえて、飼い主様と相談の上、今後の治療方針を決めていきます。

目やにがでる・目が赤い

充血、目をしょぼしょぼするなどの症状は結膜炎や角膜に傷がついている場合もあります。

考えられる病気

結膜炎、角膜潰瘍、緑内障、ドライアイ、ぶどう膜炎など

診察の流れ 問診

いつからなのか、左右差はあるのか、顔をこすりつけたりしていないかなど詳しくお聞きします。できる限り詳細に教えて下さい。

身体検査

体重・体温・聴診・触診などで異常がないか確認します。
左右の目に充血がないのか、視力はあるのかなどみていきます。

検査
フルオレセイン検査
フルオレセイン液を点眼し、角膜に傷がないかを調べる検査です。角膜に傷がある場合には、蛍光色(緑色)に染まります。
眼圧検査
眼圧計を角膜に当てて眼圧を測定します。
シルマー涙液検査
涙の量を測る検査。ここまで把握した情報で更に検査が必要な場合は提案させて頂きます
血液検査
ここまで把握した情報で更に検査が必要な場合は提案させて頂きます。
治療

症状や検査結果をふまえて、飼い主様と相談の上、今後の治療方針を決めていきます。